密室においた植物の作る酸素で息をするには?


よく中学理科の実験で、植物を暗くした容器に入れたり、葉を落とした状態で入れたり、ハツカネズミと一緒に入れたりするものがありますね。

その図を見たときに、塾生のD君が上記の質問をしてくれました。

密閉された室内においた植物が生成する酸素で、人が窒息死しないためにはどれくらいの大きさの植物を置けばいいの?
(D君の質問)


まあその前に、こんな会話もあったりします。


このハツカネズミって、酸素がなくなってそのうち苦しくなって死にますよね。
(ねずみと葉を落とした植物を一緒にビンに入れている図を見て)

そうだね。はつかねずみってかわいそうね。色々実験に使われて。ストレスの実験とか、新薬の効果とか…

人間に生まれてよかったー。

そうだね、一応生物の頂点だからね。人間は。でもトラと真っ向勝負したらやられちゃうね。

熊なんか、でかいから、一発食らったら、もうそれでひるんじゃいますね。

一発くらった段階で、もうほとんど終わってるんじゃない?

などなど。

D君との会話は直ぐ教科書の内容から外れてしまう(笑)

川村先生の塾に行くと「へえ~」ということが多いので
彼は、トリビア塾と親御さんには話しているらしい。



さて、質問の件です。
自分も調べないとわからない、ということで調べました。

人間が酸素を吸いたいけれどそこには無ければ、窒息死ということになってしまいますから、
人間が一日に消費する酸素量と植物が一日に生成する酸素量を比べればよいと思いましたので
その辺の情報がネットにあるはずと思い、検索しました。

「脳で消費するエネルギー消費量は1日当り500kcalにも及び、それに見合う酸素量は100リットル以上にもなりますが、これは全身の必要量の約1/4に相当します。」
という記述がありました。

ここからわかることは

1.体全部では2000kcal一日の活動に必要ということ。
2.予想外に脳でのエネルギー消費が激しいこと。
 (ダイエットに頭を使うのも効果的かと)

ちなみに、

てりやきバーガー 480kcal
きつねうどん・そば  500 kcal
カツカレー 997kcal

程度です。

この3食で一日分の2000kcalに近いですね。


人間や動物が呼吸をするのは、食べた炭水化物や脂質を燃焼させて、活動に必要なエネルギーを取り出すためです。
(エネルギーが無ければ、脳も動かないし、心臓も動かすことができません。)

この2000kcalを発生させるのに必要な酸素の量は、先の記述から400リットル(標準状態で酸素分子18mol)となります。

室内に置いた植物でこの酸素をまかなおうとすると、植物がたくさん酸素を出してくれたらうれしいのですね。酸素を多く出す(光合成を活発に維持する)条件がありますね。

光合成に必要な水はたくさんあり、二酸化炭素の量も人間が排出する息でたくさんあるとします。逆に酸素は少なめで植物に有利とします。

あとは十分な光ですが、お部屋の明るさというのは外の天気の良い日の明るさに比べたら格段に暗いということがあります。

ちなみに、お部屋で撮った写真は手ブレが多くないですか?室内は光が足りないので、フィルムに感光させる光を多く撮るために、カメラのシャッターを長い時間開放するのでその間に手がぶれるとダメないんです。


理想的な条件で,葉が酸素を1分子発生し,二酸化炭素を1分子を 吸収するためには,葉に光合成に有効な光量子(光の粒)が10個程度あたる必要があるそうです。 (寺島 一郎 殿(大阪大学大学院理学研究科) )

床面を全部植物の葉が覆う部屋で,光の強さを太陽の1/100の1,つまり,光量子が1平方メールあたり1秒間に0.00002 mol m-2 s-1降り注ぐとすると、二酸化炭素が常に供給されるとして,一日に発生する酸素の量は床面積あたりで,0.17mol O2 m-2 日-1です。

0.00002 mol m-2 s-1 × 1/10 × 3600s/日 = 0.17mol  O2(酸素分子が) m-2(1平方メートルあたり)日-1(一日あたり)


1molは、6.02×10の23乗ですから、
一日に1平方メートルの広さにおかれた葉が生成する酸素の分子の粒の数は
102000000000000000000000個です。

とても多そうに見えますが、はたしてどうでしょうか?


ちなみに天井の高さが2.5mだとすると,部屋の酸素濃度は21%から21.16%になります。

理由:
2.5m×1m2=2.5m3 2.5×1000L : 22.3L = 標準状態での空気分子の数mol(高さ2.5mの四角柱中の):1mol 

112.1 * 0.21 = 23.54mol(O2量)

112.1 * 0.2116  = 23.54 + 0.17 mol(O2量)

6畳のお部屋の面積は、

床面積 3.3m2/畳 × 6畳 =19.8m2【誤】
床面積 3.3m2/2畳 × 6畳 =9.9m2【正】3.3m2は1坪ですから、畳2枚分でした。訂正いたします。

壁面積 3.6m × 2.5m × 2  + 2.7m × 2.5m × 2 =18 + 13.5 = 31.5m2

ですから、壁と床に葉を引き詰めるように、どの葉も日陰にならないように植物を配置すると、

6畳間で一日に発生する酸素量は、

0.17mol O2 m-2 日-1  × (9.9+31.5)m2/6畳 = 7.04 mol O2 日-1 6畳-1【正】


人間が一日に必要な酸素は400L(約18mol 理由 400L/(22.3Lmol-1)=18mol)
でしたから

18mol O2 日-1 ÷ 8.72【誤】7.04【正】 mol O2 日-1 6畳-1= 2.06【誤】2.56【正】 ×6畳


つまり、太陽の光の1/100の強さの光がまんべんなくあたるように、壁と床に葉を引き詰めた6畳の部屋を【誤】2個用意して【正】2部屋と一部屋の半分用意して、【2つの部屋をパイプで接続すれば、それらの植物が生み出す酸素によって、人が一人呼吸をぎりぎり続けて生きられることがわかりました。

予想外にたくさんの葉がないと、ダメなんですね。
皆さんもそう思われましたか?

ちなみに地球の酸素は陸上の植物が作る量より、海で植物性のプランクトンが作る分が多いんですね。(4:6)
これも皆さんの予想とはあっていましたでしょうか?

ご参考までに。