全統模試解答例(一部)

本日全統模試があり、塾生の方に示した解答例を一部紹介したいと思います。



全統一模試2007、0908実施□4番 (4)の解答

5x*x-2kx+k*k-6=0 … ①

二次方程式①が二つの異なる実数解を持つ条件は
判別式D>0より
実数kについて以下の不等式が成り立つことです。

-(√30)/2 <k< (√30)/2  … ②

β-α>2 となるための実数kの値を知るために、解の公式で求めた二つの解を大きいほうβから小さいほうαを引いて、
β-αを計算すると無理数部分の2倍が残り、整数(有理数)部分は相殺して消去されます。

β-α=(2√(30-4k*k))/5

これが2より大きいためには
β-α=(2√(30-4k*k))/5  >2 を解いて

-(√5)/2 < k <(√5)/2  …③

kは実数ではなく整数の範囲で選ぶと 2 <√5 < 3 を考慮し 
(√5)/2 =1.□□… (□は小数部)となりますから

③を満たすkは整数では -1、0 +1 の3つ存在します。これらは②の条件も満たしています。


(4)の問題ですが(1)~(3)まで誘導してきているといえます。
まず(3)で気がついてほしいことがあります。
「β-α>2をなぜ検討させているか?」という目で問題を見ます。
(4)の問いは、
「kが整数のとき、5x*x-2kx+k*k-6<0 …④ を満たす整数xの個数が1個となることはないことを示せ」です。
「一個となることはない」ということは0個か2個以上かと言い換えることができます。

まず2個以上となる場合を考えます。
「二つの解x=α、x=βの間の間隔が2より大きければ、5x*x-2kx+k*k-6<0を満たす整数xは2個存在することになります。(x軸の数直線上で長さが2の線分を任意に選んだとき、必ずその線分の中には整数xが2個含まれるから。(厳密には3個含まれる場合が唯一ある⇒線分の端が整数値に重なったとき))
したがって
(3)で求めた k=-1,0,1 の3つの場合は、整数xを2個持つことになるので整数xは1個ではない、ということが示せます。

kは整数ですが、すべてのkの場合に「整数xは1個ではない」といことをいわなければなりません。k=-1,0,1は上で考えましたから、次にkが-2、2の場合を考えます。
またkが-3より小さい、あるいは3より大きい整数の場合も考えます。

k=2のとき、不等式は
5x*x-4x-2<0 となります。
(2-√14)/5 < x < (2+√14)/5  (√14=√2(=1.1414)×√7(=2.236))
ざっと計算して
-0.348 <x <1.148
ですから、k=2の時は 整数xとして0と1の二つを含んでいます。

同様に
k=-2のとき、不等式は
5x*x+4x-2<0 となります。
(-2-√14)/5 < x < (-2+√14)/5  (√14=√2(=1.1414)×√7(=2.236))
ざっと計算して
-1.22 <x <0.43
ですから、k=2の時は 整数xとして-1と0の二つを含んでいます。


kの絶対値が3以上の場合 (k<-3 、3<k)
は2つの異なる実数解を持つ条件

-(√30)/2 <k< (√30)/2 … ②  
(5<√30<6だから  -2.□□…<k<2.□□…)


を満たすことができません。
したがって、α、βは存在せず、不等式を満たす整数xは0個(存在しない)になります。

ゆえに整数kについてまとめると

・|k|≦1 のとき 整数xの数は2個存在する。
・k=2 のとき  整数xの数は2個存在する。
・k=-2 のとき  整数xの数は2個存在する。
・3≦|k| のとき 整数xは0個存在する。

したがってすべての整数kについて整数xは1個になることはない。

(証明終わり)

----------------------------------------------------------------
コメント
二つの異なる実数解を持つ条件
-(√30)/2 <k< (√30)/2  … ②
つまり
-5.□□…/2 <k< 5.□□…/2
つまり
-2.□□…  <k< 2.□□…
ですから、ここに含まれる整数のk数は5個 (-2、-1、0、1、2)しかない!という感触が得られたら良かったですね。ルートの大きさを大体見積もっておくのは、得策と思います。
kがこれ以上大きい整数では実数解が存在しないので、これ以上大きいkは相手にする必要はないということです。扱う範囲が狭まってぐっと考えやすくなります。


----------------------------------------------------------------------
□2の【解答】
点Qが正方形を一周する時間を4√2とおくと、n周した時点で4n√2の時間が経過します。一方この時間の間に六角形上を動く点Pは(n-1)周してn週目の辺AB上にいるから、
以下の不等式が成り立ちます。

6(n-1)< 4n√2 <6(n-1)+1…① A点まで6(n-1)秒、B点まで6(n-1)+1

左側の<の不等式を解くと
6(n-1)< 4n√2
6n-4n√2 <6
n(6-4√2) <6
n<6/(6-4√2)
有利化して
n<6(6+4√2)/{(6-4√2)(6+4√2)}
n<36+24√2/(36-32)
n<9+6√2  
n<17.46…   …②

同様に①式の右側の不等式を解くと
4n√2 <6(n-1)+1 
5<6n-4√2
5<n(6-4√2)
5/(6-4√2)<n
有利化し
5(6+4√2)/(36-32)
(30+20√2)/4 <n
7.5+5√2 <n
14.55… <n

① と②から
14.55… <n< 17.46…
したがって
nは 15、16、17の三つ。(答え)
確認の計算
たとえばn=15を代入してみます。
15周(n=15)だと必要時間は15*4√2=84.852秒 
84.852÷6=14.142
六角形の場合は14週(n=15-1=14)で84秒かかるから、残り0.852秒は1秒未満である。したがって辺AB上にいることが確認できます。

同様にn=16、と17で確認してよいですが
問題の(2)~(3)で一周あたり点PとQ時間の間に0.343秒の差が生まれることがわかっていますから、
n=16
0.852-0.343=0.509  ← 0~1秒の間
n=17のとき
0.529-0.343=0.166  ← 0~1秒の間
もし
n=18だと
0.166-0.343 が負になりますからNGです。