送信メールの紹介

PTA活動を通して、とても親しくさせていただいている方の娘様に私の塾を利用していただいております。その方へのメールです。
昨日 -(-1)はなぜ+1かの説明が、娘さんに説明してほしいということでいらっしゃいましたのでその回答です。


○○さん

毎度ご利用ありがとうございます。
妹さん、私の説明に飽きなかったかな?


①数直線を使った説明。(あの絵は鳥ではなく人です。(笑) くちばしに見えたのは人の鼻です))


(+8)-(-1)の説明は

数直線上でまず原点0に立ちます。+8なので右に8進みます。
-で逆方向(回れ右で左方向)を向きます。
そこから前に-1歩進みます。ということは左を向いて一歩下がるので+9のところにいます。だから答えは9です。

(+8)-(+1)なら
数直線上でまず原点0に立ちます。+8なので右に8進みます。
-で逆方向(回れ右で左方向)を向きます。
そこから+1(前に一歩)進みます。ということは左を向いて一歩進むので+7のところにいます。だから答えは7です。


②式での説明

■-■=0です。理由は同じものをひくからです。

では■=-1だったらどうか? 代入して

(-1)-(-1)=0です。これは正しい。

両辺に1を足しても、等式は成立する。

1+ (-1)-(-1)= 0 +1  

左辺は初めの2項分で0。右辺は+1。よって

0-(-1)=+1  … ※

0は数学的には書かないでもいいので、

-(-1)=+1

が導けます。

「-(-1)とは (-1)に-をかける」とも読み取れますが、
「※のように、-(-1) は 0-(-1)とも等しいので、0から(-1)をひいたもの」と考えても良いですね。


③グラフでの説明

一日に1円使うとします。(私の子供の頃、近所の駄菓子屋さんで1円キャラメルが売られていました)
今10円持っていれば、明日には1円減って9円、その次は8円になります。つまり一日たつごとに
1円ずつ減ります。

この場合、3日で3円減ることは、式で表現すると、

(-1)× 3 = -3

となります。つまり 

一日につき、1円減るので(-1)、3日では(×3)で3円減る。

と読み取れます。


10日後にはお金を全部使ってしまい、残金は0になります。
この時点から3日前はいくら持っていたかを考えると
3円持っていたことになります。

このことを式で表すと、変化分に注目して、

(-1)×(-3)= +3 

一日に1円減る(-1)状態で、3日経過(+3)するのではなく、3日戻る(-3)ので
今よりも+3円増えていましたよね。


あるいは残金に注目すると、

0 + (-1)×(-3)= +3


と書けます。説明すると、
一日に1円減る(-1)状態で、3日経過(+3)するのではなく、3日戻る(-3)ので
今の0円を基準にすると、そのときは+3円持ってましたよね。


ということです。


余談ですが、

今の式について厳密に単位まで記載すると、(単位はとても便利なものです、数学や理科の文章問題(方程式を作って解く計算問題)ではとても重宝します)

(-1円/日) × (-3日) = -1 × -3 × 円 × (1/日) × 日 (式に単位まで含めて計算する)

 -1 × -3 × 円 × (1/日) × 日 = +3 × 円

となり、答えの単位(次元)がきちんと自動的に「円」になります。数学の力(計算の法則)を上手に借りています。

物理などでは、途中計算(文字式の変形)が間違っていないかどうか、あるいは出た答えが正しいか?を判断するために、単位を確認することはしばしばあります。
簡単な例では、
速度をあらわす式なのに距離を表す項(単項式)が混じっていたらおかしいし、左辺の次元は速度でも、右辺の次元は距離といったずれがあるのもおかしい。
速度を求める問題で、出た答えが「時間」の単位を持つものなら、これも間違っているということです。




お姉さんは、考えることより、覚えるほうが好き。ということで、
実際、今までの試験でも「知識」のジャンルの問題は良く書けますが、
「思考」を問う問題は点が取れないそうです。

生徒さんのタイプは様々ですが、今は理系タイプというよりは文系タイプですね。

対策としては、
①暗記ではなく、思考することに面白みを見出スことのできる指導をするか、
②暗記のスタイルで、思考力に頼ら無い範囲で、できるだけ点数を取れる方法を教える。

のどちらかと思いますが、
覚えるのが面倒くさいと思う人と、考えるのが面倒くさいと考える人との違いによりますね。

一昨日のフクトでは、国語がとてもよかったです。なかなか国語の点数を上げることは難しい(と理系の私は思っています)のでこれは強い武器になります。
英語、理科、社会は暗記系の部分に関しては、得意ジャンルなので今後問題なく覚えることができるでしょう。
懸念材料は、英語の文法、数学の難問と、理科の計算問題や理由を問う問題です。
上の①のスタイルが理想ですので、まずは②のスタイルで指導させていただき、できるだけ良い点数を取れるような指導に努めた後、(このスタイルのままではテストの点数は頭打ちになって大きく伸びません。)理系の私としては、数学の面白さを何とか伝えたいと思っています。

一般的に、社会に出ても、知識量で勝負できる場合と、やはり自分で考えないといけない部分があり、仕事で与えられた条件の中で答えを引き出すためには、考えることなしには難しいです。「数学は社会に出てもつかわないから勉強しても無駄」という意見もあちこちで聞きますが、与えられた条件を踏まえ、論理的に考え、目的を達成することの練習をしていると思えば、数学の勉強は十分社会に出て役に立つといえると思います。